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著者はしがき 古代アジアで熱烈な宣教を行い、1300年間にわたって存在を続けたキリスト教会があった。一度この教会のことを知れば、もう誰もその存在を無視できない。この小書の目的は、偉大なこの宣教運動に焦点を合わせることである。2世紀から14世紀に至る、1300年間のこの教会の歴史をすべて述べることはできないため、本書は主として最後の800年間のことがらを扱うことにした。 この教会の歴史資料は広い地域に分散している。それは世界の半分ほどにも及び、記述はいくつもの言語に及ぶ。それゆえ、この教会の宣教の歴史の一般的な紹介書は皆無というのが現状である。 キリストの王国の福音は、古代世界においてはアジアの民衆に対しても宣べ伝えられた。当時のアジアと言えば、世界でも人口が一番多い地域であり、文化的にも世界で最も進んだ地域だった。 この教会の宣教について、今日の西欧のクリスチャンのほとんどが無知のままである。彼らの宣教の中でアジアの文化との対決がどのように行われたのか、その推移と経過がどのようだったかについて、一般には何も知られていない。 中世の暗黒時代には、ローマ・カトリック教会がいわば聖霊に成り代わっていて、福音は隠されていた。その間、福音的キリスト教はどこかに存在していたのだろうか。そのように質問されると、普通は誰も答えられない。 福音信仰を持っていた集団を探すと、スコットランドにあったアイオナ共同体や、またイタリア・アルプス山中のワルドー派クリスチャンを挙げることはできるが、両者ともに少数のグループにすぎない。 暗黒時代に福音はどこにあったか、という質問には素晴らしい回答がある。本書は、そのことに光を投げかけようとするものである。 古代世界において、実は中東と西アジアのキリスト教会は、大規模なアジア宣教を実行していた。そのことは、今日のキリスト教会においてもっと語られ、強調されなければならない。 この時アンテオケから北京にかけての献身的な伝道が行われ、宣教者たちは1万キロの道のりを徒歩で旅して福音を伝えた。それを通して古代から中世にかけての長い時代に、東経30度から130度に至る地域において、多数のクリスチャンの群れが生じ活動した。 本書にある、この教会の東方への伝道事業の細部、またそれらの分析は、今日の世界伝道を志す我々への励ましであり教訓である。同時に、大きな警告がその中にあるのも事実である。 異文化宣教を考える時、誰もが遭遇する危険と落とし穴がある。それは、相手の社会に以下のことを徹底させるのが難しいということである。 ・生まれながらの人間の霊的死の状態の認識。 ・心よりの悔い改めとバプテスマの意味。 ・外面的な敬虔の行為が内面的な潔さを示さない事。 ・義認の信仰とまた主との一体化の重要性。儀式と形式ではない。 また、そのために宣教に、生じやすいのは…… ・世俗主義との妥協 ・周囲の宗教習慣や礼典との妥協 ・時の政治権力との一体化 ・エリート層に関心を向けるあま 著者・訳者など:ジョン・M・L・ヤング
後藤牧人 訳  川口一彦 監修
ISBN:978-4-90374837-
JAN:9789780000000

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