いのちのことば社
教会の中でも、だれもがハラスメントの加害者・被害者になり得る。ハラスメントの多様性と理解の難しさ、要因としての人間の性質と日本の教会の風土をたどり、これをどう防止したらよいかを語る。福音理解と信仰のありようも考える一冊。
キリスト教の立場を明らかにしながら,教会,企業,大学で起きるハラスメントの課題と解決の方向を示したいと願っています。ハラスメントで苦しむ人を一人も出さないために,私たちは最善の努力をすべきです。ご一緒に考えていければ光栄に存じます。(本文より)
目次
まえがき 1
第1章 私の信仰的背景………………………………………………………7
第2章 ハラスメントの多様性…………………………………………11
1 種類 11
⑴ パワー・ハラスメント(権力的威嚇) 11
⑵ セクシャル・ハラスメント(性的嫌がらせ) 12
⑶ モラル・ハラスメント 13
⑷ アカデミック・ハラスメント(教育的嫌がらせ) 13
⑸ スピリチュアル・ハラスメント 14
2 ハラスメントはだれにでも起こりうる 14
3 問題発生の可能性 15
4 牧師・教師の立場 16
第3章 ハラスメント問題の難しさ…………………………………17
1 判断の難しさ 17
2 被害の複雑さ 17
3 解決の難しさ 18
第4章 教会の構造的・風土的問題…………………………………19
1 上下関係 19
2 神の代理(権威) 20
3 仕える人 21
4 教会の閉鎖性 21
第5章 個人の課題,もつべき意識…………………………………23
1 ハラスメントの理解 23
2 ハラスメントに対する感性 24
3 他者の尊厳の認識 24
4 自分の弱さを知る 25
5 信頼関係の大切さ 26
第6章 人間理解とコミュニケーション…………………………27
1 聞く 27
2 聴く 29
3 訊く 30
4 利く 31
5 効く 32
第7章 防止制度の構築……………………………………………………34
1 ハラスメント被害者のための窓口(独立機関) 34
2 委員会の設置 35
3 アドバイザー 35
4 法的対応のための準備(弁護士) 36
5 継続教育の研修会 36
第8章 聖書から学ぶ…………………………………………………………38
1 人間は神の被造物 38
2 人間は神の愛の対象 39
3 人間の罪性 39
4 十字架の苦しみを想う(肉体的,精神的,霊的苦悩) 40
⑴ 肉体的苦痛 40
⑵ 精神的苦痛 41
⑶ 霊的苦痛 42
第9章 被害者の救済優先で問題解決にあたる………………44
1 訴える権利 44
2 被害者を理解する 45
3 秘密保持 46
4 加害者のためのケアの場 46
第10章 ハラスメントとキリスト教の和解……………………48
1 キリスト教の道 48
2 癒しの定義 49
3 世のさばきと信仰の救済 50
4 神にゆだねる 51
5 仲介に立つ 52
6 牧師がパワー・ハラスメントを受けるとき 53
第11章 まとめ………………………………………………………………54
1 聖霊の助けを求める 55
2 誘惑を避ける 55
3 へりくだる 55
参考文献 57
あとがき 58
著者・訳者など:窪寺俊之
ページ数:A5判
判型:60頁
ISBN:978-4-264-04399-7
窪寺俊之
1939年生まれ。
埼玉大学(教育学),東京都立大学大学院(臨床心理学)に学び,エモリー大学神学研究科(キリスト教神学)(M.Div.),コロンビア神学校神学研究科(牧会学,牧会カウンセリング)(M.Th.)を修了。博士(人間科学,大阪大学)。
リッチモンド記念病院チャプレン,淀川キリスト教病院チャプレン,イーストベイ・フリーメソジスト教会牧師,関西学院大学教授,聖学院大学院教授を経て,現在,兵庫大学大学院特任教授。臨床死生学,臨床倫理学などを担当。日本臨床死生学会常任理事,日本臨床宗教師会副会長,日本ホスピス財団評議員。